今回ご紹介するのは、ECOLATEというチョコレート!
このチョコレートが生まれた背景には、カカオが抱える様々な問題があります。
それらを知ることでより理解が深まる商品だと思います。
チョコレートが食べられなくなる未来がやってくる?
細かい話になるともっとたくさんありますが、今回は大きく3つに分けてお話します。
①低賃金によるカカオ農家の貧困
カカオの最大生産国はコートジボワール。
2019年時点で世界シェア39%を誇ります。
このコートジボワールでも、2018年に行われた調査では、不自由なく生活できる収入を得ているカカオ生産者はたった7%。58%は極度の貧困状態にあるという結果が出ています。
コートジボワールのカカオ農家の1日の稼ぎは、約50セント(US $)。極度の貧困ラインとされている1日1.25米ドルをはるかに下回る金額です。
②児童労働
主要生産国であるコートジボワールとガーナだけでも、212万人の子供がカカオ農業に携わっています。
児童労働は2008年〜2019年にかけて45%増加しており、96%の子供が、重い荷物を運んだり、鋭利な刃物を使うなど危険を伴う仕事をしていると推測されています。世界のカカオの約90%は1〜5ヘクタールの小規模で独立した農場で生産されており、農家とその家族の生活は、収穫量とカカオの価格に大きく依存しています。
貧困状態の農園は我が子も労働力として動員せざるを得ず、そうした理由で家族から引き離された子供が、人身売買や強制労働に巻き込まれるケースも珍しくありません。
【参考:Global slavery index 2018】
③環境問題
西アフリカで深刻化する森林破壊の主要因は、チョコレート産業のカカオ栽培であることが分かっています。西アフリカは世界一のカカオ生産国ですが、主にカカオ栽培のために、1960年以来、その森林被覆の85%以上を失っています。
コートジボワールでは、かつて国土の25%が熱帯雨林でしたが、現在は4%未満にまで激減。
熱帯地域では土壌が酸性のため、作物を栽培するのに適していません。そういった地域では、森林や草原を刈り払い、草木を燃やしてから、耕作する焼畑農業の手法が取られます。数年間作付けした後に、別の土地に移動して耕作を繰り返し、土地が回復したら元の農地を再利用する伝統的な農法で、森林破壊の原因ではなく、持続可能なものだと言われています。
しかし、土地の回復力を考えない、持続可能ではない焼畑農業が行われることがあります。
こういった非伝統的な焼畑農業が、森林破壊の原因の1つと言われています。
カカオ生産者の間では、
『カカオ栽培をより良くする為には太陽が必要。新たに森林伐採された土壌の方が、カカオをより良く成長させる』と信じられており、熱帯雨林を少しずつ焼きながらカカオ以外の木を切り倒し、空いた土地にカカオを植えることを繰り返してきました。
この事態を受け、特にコートジボワールでカカオ豆を調達している様々な企業が、森林破壊と森林劣化を終息させる共同声明を出しましたが、
業界が森林破壊を止めることを約束したにもかかわらず、コートジボワールは 2020年にココア栽培地域 で47,000ヘクタール(116,000 エーカー)の森林を失っています。
コートジボワールの水森林省は、同国のカカオ生産の約20%から30%が森林保護指定地域から来ていると推定しており、この状況を食い止めるために、いかに実用的な対策を打ち出せるかに注目が集まっています。
【参考:Chocolate industry drives rainforest disaster in Ivory Coast】カカオを作っても儲からない
→労働力がないので子供にも働いてもらわなければいけない
→少しでも収入を増やす為、森を焼いてカカオの苗木を植える
→しかし儲からない…のループが起きているのですね。
これらの問題があるにも関わらず、世界ではチョコレートの需要は増していくばかり。
このままではカカオの生産が追いつかなくなり、2050年にはチョコレートが食べられなくなる、と言われています。
チョコレートの未来のために生まれたECOLATE
こうした問題を解決へ導く第一歩として生まれたのが、今回ご紹介するECOLATEです。
通常なら7割が廃棄されるカカオの廃材に、「食材」としての価値を与えることで、農家の貧困問題を解決する第一歩にできないか、カカオ農家にとっても新たなエコシステムを構築できないか、という考えから生まれました。
このプロジェクトの考案者は、不動産会社「LIFULL」の川嵜 鋼平さん。
同社の飲食事業「LIFULL Table」が展開する「地球料理 Earth Cuisine」プロジェクトの第3弾として、ECサイトから予約販売を受け付けています。
(※現在かなり生産に遅れが生じており、発送に時間がかかっているようです)
こうした機会がなければ絶対に食べることはないであろう、カカオの枝や葉っぱ、殻を使ったチョコレートたち。
カカオマスやカカオバターを使わずに仕上げたらどんな味がするのか??
気になりすぎてニ種類とも購入しました\(^o^)/
ECOLATE CARRE
カカオ⾖の殻、枝、葉から生まれたチョコレート。
担当されたのは、SUGALABO、THIERRY MARX等の名店でシェフパティシエを歴任し、現在は「unis」のシェフパティシエをされている、江藤英樹さん。
使用されているのは、ココナッツオイル、砂糖、カカオ廃材のみ。
シェフにとってもかなり難しい経験だったそうで、1%配合が違うだけでまったく別のものができたと語られていました。
こちらがパッケージ。
かなり大きいです。(ネズミのニックくんは全長15cm)
後ろ。
本当にカカオマスなどのよく見る材料が入っていないことがわかります…。
(左上)カカオ豆の殻・枝・葉30%、(右上)カカオ豆の殻50%、(下)枝の含有量20%
モールドの模様でチョコレートを判別できるようになっています!
とても可愛い!
未熟者ながら、正直に感想を書かせていただきます🙇♀️
・カカオ豆の殻の含有量50%
全体的にもそもそ食感。この中では香りが一番チョコレートに近いです。
噛み締めているとほのかにココナッツの甘みが。
後半は口の中にハスクの渋みが残ります。
私は今自然を頂いている…🙁
・枝の含有量20%
木を削った中にきなこを混ぜたようなお味がする…😂チョコ自体は、手で割るとほろほろ崩れて和菓子のようなのですが、口に入れるととても弾力のある食感。噛んでも噛んでも押し戻されて無くならない。
カカオの木の逞しさを感じました。
・カカオ豆の殻・枝・葉の含有量30%
全部入り。ねっとりした食感。
すり潰した草の香りがぶわーっと広がる。
昔飼っていたうさぎのご飯を思い出しました。でも後半に残る香りはとても和室っぽくて落ち着きます。
枝の弾力はここでも健在!モッモッモッと押し戻されます。笑
どれも初めて食べるお味で、大変新鮮でした!!!!
断面から素材の繊維がしっかり見えて楽しかったです。
ECOLATE TABLETTE
パウダー状にしたカカオ豆の殻を33%使用した板チョコレート。
担当されたのは、タイのチョコレートブランド「Kad Kokoa」とコラボしたボンボンショコラの話題が新しい上妻正治さん。
廃棄物であるカカオハスクを使用しながらも、チョコレートらしく食べてもらうことにこだわって作られたそうです。
カカオハスクの使用量を調整してチョコレートの香りを表現し、硬さや滑らかさを表現する為の油脂選び、通常より1.5倍の甘みを感じる果糖や、まろやかな風味を生み出すきび糖でカカオハスクの持つ苦味を緩和させたり、それぞれの配合にこだわりがたくさん詰まっています。
後ろ。
お皿に出してみました。
大きい。とろんと溶けたようなモールドが可愛いです。
実際とても溶けやすそうだったので、部屋の冷房も強めにかけました😅
ペコ、と元気に割れます。
頂きます!
食感はどちらかといえばモソ…という感じですが、ハスクの香ばしさとブラウンシュガーを始めとしたお砂糖達が、とても良いバランスで配合されていると思います!
カカオマスが入っていないのも言われないと気づかないかも。ほろ苦く、甘さもちょうどよく、香ばしい!とても美味しいです!!!
カカオのこれからを信じて。
今回のプロジェクトには、
フーズカカオ株式会社の代表取締役、福村 瑛さんも関わっておられます。
福村さんは、私達が普段食べているチョコレートの原料は「カカオの種子」であり、本来はカカオの木として、繁栄していくために残すべきもの。
種子だけを食べる行為は、種の多様性を減らし、未来を途絶えさせる可能性が増えると感じておられ、カカオの木を食べることで、未来のカカオ生態系を作る事ができる可能性があると語られています。
また、農家が木や葉っぱも食品として扱い、農薬を使わずに育てるようになると、カカオ豆自体の農薬問題解決の一助にもなるとのこと。
チョコレートの材料であるカカオが抱える問題の大きさ、これから切り拓いていかなければいけない未来の重さを、強く感じさせられました。
カカオやチョコレートが大好きだからこそ、自分に何が出来るのか、これからも考えていきたいですね。
参考:LIFULL Table Presents『地球料理 -Earth Cuisine-』第三弾 発表 カカオの廃材から生まれた、新しいサスティナブルスイーツ “ECOLATE”
:カカオの葉や枝を使用!? 廃材から生まれた新しいスイーツ「ECOLATE」誕生 | Numero TOKYO
ごちそうさまでした!!
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