Pod to Barに初挑戦!生のカカオからチョコレートを作る!!

2025年2月20日木曜日

カカオチャレンジ

t f B! P L

いろいろ事情がありまして、公開時期をずらしていたカカオチャレンジの記事、遂に公開します。笑


ジャカランダブルーさんの記事でもご紹介した、仲良しのcacao noteさん(@cacaonote_okinawa)が、

2023年の1月末に、沖縄のご自宅で育てていらっしゃるカカオポッドを送ってくださいました😳😳

実際手にしてみて、どう扱ってあげたら良いのか分からず、初めて家に猫がやってきた時のような気持ちに😂

子供達も大喜びで、到着当日はもみくちゃにされたカカオちゃん。

しばらく飾って楽しんでいましたが、せっかくなので発酵させてチョコレートにするところまでやってみよう、と思い立ちました💪

カカオはフルーツ!

カカオと聞けばチョコレート、のイメージが自然に浮かぶ方がほとんどだと思いますが、

実際にチョコレートになるのが、この果実の「種」だということを知っている人は、まだまだ少ないのではないでしょうか。


実はカカオはフルーツなんです。

殻の中には白い果肉があり、何やら甘酸っぱい味がするらしい…と、私自身も知識としてはありましたが、実際に果実のカカオに触れたのは、この時が初めてでした。

カカオポッドを開けてみると…?

今回送っていただいたのは、cacao noteさんが沖縄で初めて種を撒き、今期1つだけ実った貴重な国産カカオだそう。

プエルトリコからやってきたそうです。


小さなカカオでしたが、中には実がぎっしり!

中心に一本筋があり、その周りを囲むように果肉がついています。

香りはまだ青い時のバナナのような感じ。

果肉はとろりと柔らかく、甘酸っぱいヨーグルトのようなお味でした。

全体の量は大体37粒ほど。

果肉を食べてカカオ豆を取り出すと、周りに薄い膜が張っているのが分かります。

(ほんのり芽も出ているような?)

果肉を全て取り出して計ると、48gありました。



発酵後のカカオ豆と比べ、発酵前のカカオ豆には1.5倍のポリフェノールが含まれているため、中心は紫色をしています。


チョコレートってどうやって作るの?

カカオがチョコレートになるまでの工程はこんな感じ。


農園にて収穫

発酵(ここでチョコレートの香味の素が出来る)

乾燥(輸送中にカビないくらいの水分量に調整)

船🚢などに乗って各国へ…

選別、焙煎(②で出来た香味がここで出現!)

皮むき(実と殻に分ける)

摩砕(粗く砕く)

精練(なめらかな口溶けになるまで練る、お砂糖もここで投入)

調温(ツヤっと固まるように温度調整)

成形(チョコレート完成!)


私は普段、カカオ豆をチョコレートにする仕事をしていますが、私達作り手の手元にやってくるカカオ豆は、③乾燥まで終わったものであることが大半です。

そのため、仕事で作るのは④選別の工程から。

普段関わることのない②発酵、③乾燥については全く経験がないため、SNSをフル活用して、知識のある方から情報を集めることにしました。

カカオ発酵の経験者たちにアドバイスをもらう

今回、困っているMallowにアドバイスを下さったのは、

カカオポッドを送ってくださったcacao noteさん

WHOSE CACAOの代表福村瑛さん

砂漠(エミューの人)さん

紹介制チョコレートショップ『Aika kobayashi』のショコラティエール、チョコアイカさん の四人。


特に砂漠さんは、こちらのまとめ記事が検索で一番に見つかったこと、発酵に挑戦された季節が今回と同じ冬であったこと、自宅で手軽に出来そうな方法で発酵に挑戦されていたことから、すぐに声をかけに行きました🤭

→【バレンタインデーにチョコレートを手作りしました!→生のカカオフルーツを輸入し、発酵、焙煎したガチ勢だった「文明に感謝」「TOKIOかな?」

砂漠さんの発酵体験談

発酵スターターに使ったのは、①バナナの葉、②酒用ドライイースト③ バラの花④バイマックルー(こぶみかんの葉)。どれでも発酵できた。

ドライイーストはシャンパン用だと、菌が産出する香りが良い。パン用でも大丈夫 。小さじ¼使用した。


最初の一週間はアルコール発酵(嫌気性)なので、ジップロックにスターターとカカオ種子を入れ、バナナの葉で包んで密封した。カカオ豆の量が少ないならラップでもいいかも


天然酵母での発酵に成功するような状況であれば、ドライイーストは極めて僅かな量でも発酵する。バナナの葉等の植物に付着した酵母だけでも発酵はできたので、ドライイーストは1/4もいらないかも。ただ、腐敗のリスクを抑えるには多めにいれるのが無難。


発酵中の室温は真夏くらいを保てれば⭕。

砂漠さんは発酵終了まで、エアコンを30度に設定してつけっぱなしにした。

しかし、室温が25℃までしか上がらず、最初の発酵が始まらなかったため、初日だけ40度の保温機にかけてスタート。

一度発酵が開始された後は、室温(エアコン稼働)でも発酵が進んだ。パンの発酵と同じ要領。


アルコール発酵1週間の後、攪拌して空気に触れさせ酢酸発酵(好気性)に移行(2、3日)。

アルコール発酵中は酵母の良い香りが、酢酸発酵中は蒸れた足のような匂いがするので、移行具合は匂いでわかる。

酢酸発酵に移行するまでも、ときどき蓋をあけて匂いを確かめていた。

乾燥は天日干しにしたかったが、調理の日のギリギリまで発酵が終わらなかったのでドライヤーで乾かした。

福村さんのアドバイス

ブースターは必須ではないが、酵母でも乳酸菌でも、添加すると特定の香り成分を作りやすい

うまく嫌気性発酵するとほんとうに酔っ払うくらいお酒の香りがする。

楽しいので個人的にはおすすめ。

乳酸菌のためにヨーグルトをそのまま添加するのは微妙。


発酵コントロールにはヨーグルトメーカーがおすすめ。品温を30度-35度程度にするといい。

嫌気性も実現できて、好気性の攪拌も簡単。


     

【cacaonoteさんの発酵体験談

ブドウの果汁を皮ごと入れたら爆発的に発酵した

バイオエタノールを作成する際、発泡スチロール性のクーラーボックス(100均)に、湯たんぽを入れて発酵させた。

チョコアイカさんの発酵体験談

果物の酵母を擦り付けた布に、カカオ豆を包んだ。嫌気発酵中は小さいジップロックにいれた。それを発泡スチロールの箱に入れ、ホッカイロで温度を上げた。

温度計で測りながら発酵を行った。


チョコアイカさんのカカオ豆は、アミノ酸が増えすぎて醤油のような味になったそう。

醤油の味は、タンパク質が分解されたアミノ酸の味が深く関わっているらしい🤔

ちょっと理系すぎて私の頭がついていけなかった。笑

ハイクオリティすぎる発酵のレポートも見せてくださいました。

皆様、貴重なお話を聞かせてくださって、ありがとうございました🙇‍♀


Mallowもカカオの発酵にチャレンジ!!

【1/28 嫌気性発酵スタート】


いろんな体験談を伺ったけど、ひとまず一番手軽に、手元にあるもので発酵ができるか、チャレンジしてみることにしました。

完成日の目標はバレンタイン😇

(もちろんプライベートも繁忙期真っ只中🤣)


果肉のついたカカオ豆をラップで包み、

ジップロックに入れて、5日〜1週間ほど様子見します。

室温で菌を入れずに発酵は進むのかも試してみたかったので…🤔

砂漠さんのアドバイスに従い、エアコンを最大温度に設定。

翌日も匂いに変化が見られないため、そもそも冬の室温では限界があると悟る。笑

初日から壁に直撃🤤

バレンタイン(冬)にカカオポッドからチョコ作るなんてとんでもないぞ(今更)


【1/29〜1/30 発酵環境の試行錯誤】

エアコンをつけても室温では発酵が進まない事がわかり、パンの発酵方法を調べ始めます😇

レンジの中に、発酵させたいものと熱湯を注いだコップを入れると良いらしいと知り、まずはそこからやってみる。

庫内がじんわり温まり、カカオの匂いもやや変わってきました。


そしていろいろ試す中で、我が家のレンジに発酵機能がついてることにも気づきました🤣

オーブンの予熱の最低温度が、パンを発酵させるのに適した温度帯となっているようです。

それからは、家にいる時は発酵モードをつけっぱなしにし、仕事で家を空ける時は、熱湯入りカップをレンジに入れて、庫内の温度を少しでも長く保てるようにしました。

ここから少しずつ、カカオからアルコール感のある香りがするようになっていきます。

ようやく真の発酵スタート。笑


【2/2 カカオから甘い香りが…】

30日から発酵を始めて3日目、何やらアルコール感のあるツンとした匂いが、甘い香りに変わってきました…

最初に何か菌を添加していたら、ここで立ち上がってくる香りも変わるのかもしれませんね🤔


【2/4〜2/9 好気性発酵へ移行】

密封状態での発酵を4日を経て、パルプが緩んで茶色くなってきました。

5日目から空気に触れさせてみることに🤔

スタート時に菌の添加をしなかったので、この段階でドライイーストを加えてみます。

甘い匂いが一気にイーストの香りになってしまった…悲しい…笑



【2/10 乾燥スタート】

好気性発酵にうつって5日目、周りのパルプがすっかりいなくなり、軽くなりました。

ちゃんと出来てるか不安😂😂

でもめちゃくちゃ変な匂いはしないので大丈夫じゃないかなと思う…!!

この日は1日雨だったので部屋干し。

翌日から天日干しすることに。


【2/11 天日干しスタート】

パルプを取って乾燥しただけのカカオちゃん(右)と、8日ほど発酵させたカカオちゃん(左)。

割ってみると、未発酵カカオも時間経過で中は茶色くはなっていますが、よーく見ると中心に紫色が少し残っているのがわかります。

発酵カカオちゃんはしっかり茶色なので、恐らく大丈夫…なはず😂


この日は、明治チョコレートドリンクメーカーの試飲イベントのお手伝い(この記事の最後の記述)があり、

明治ザ・チョコレートの開発スタッフさんとお話する機会がありました。

家でカカオ発酵させて、天日干ししてきたことをお話したら大ウケ🤣


最終的に、チョコレートに使えるカカオがすごく少量になりそうなんだけど、焙煎はどうしたら良いか相談したら、

「少量だからこそ微調整が効くオーブンが良い」と教えてもらえました…神…

スタッフさんとの間で、

「もうすぐバレンタインだからね!お友達にもらったカカオでチョコを作って、沖縄に送ってあげないと!!」

「送ったポッドがチョコになって帰ってくるなんて胸熱!!!」と大変盛り上がりました🤣


フォロワーさんからも、「乾燥がうまくいけば、カカオの切断面が隆起してくるはずだ」と教えていただき、助言をたくさん頂いて胸いっぱい。


【2/13夜 焙煎スタート】

もう1日干したかったけど、あいにくの雨。

とりあえず2日程は太陽の下で干せて良かった…

まだ乾き足りなさそうなところは、ドライヤーで頑張って、そのまま焙煎に移ります。

乾燥を終えたカカオちゃん。

発酵した子達はパラパラに。カビが生えてしまった子もいる。


量が少ないので絶対に焦げは避けたい。

うちのオーブンで焼ける最低温は110℃までのようなので、とりあえずこの温度で20分


お〜温めた納豆のにおい😇

未発酵ちゃんは殻がなんだか柔らかい。

中心にはまだ紫色が残っていて、そのまま嗅いでも全然臭くない。

発酵させた子たちはみんな納豆。笑


更に120℃で7分、  110℃で10分(上段)

ここで一度食べてみる。

【未発酵豆】

皮離れは良いが、渋くて蛋白。苦味は強くなく、生のアーモンドを食べているよう。


【発酵豆】

未発酵豆よりはるかに香りが強い。

ナッツのような甘い香り、ほのかにアルコール感。

もう一度110度で10分

焼けたカカオの香りがほわほわ漂い始めたけど、まだ納豆亜種って感じ…。

オーブンで焼けてるか心配だったので、最終的にフライパンで炒りました。 


めっちゃ美味しくなった!

スーパーナッティなお酒味になった!!

でももうなくなっちゃうから、これ以上味見できない。

美味しいうちに焙煎止めます!!!


【殻剥き→選別】

焙煎で終わるつもりだったのに、その日のうちに全部剥いちゃった🙃

残ったのは14g…


70%でもお砂糖は6gしか入らないのか…

ササーっと胚芽も分けちゃいます。

翌日はバレンタイン当日。

当然ながら出勤なので、この日はここまで。


【2/14 夜 精練開始】

カカオたちは職場で使っているよめっこさんをお借りして、ある程度細かくなるまで粉砕。


豆の量が少なすぎて空回りしてしまうので、

そこからはすり鉢でひたすら練ります。

こちらはセリアのすり鉢。

果たして今日中にチョコレートになってくれるのか…

すり鉢の下にお湯を張った容器をおき、熱を加えながら練りました。


            ↓

            ↓

            ↓

この数週間、家でも店でもずっとカカオに触ってました。

仕事とプライベートにカカオが侵食するとこんなことになってしまうのか…としみじみ考えながら練り続けます🙄

【2/15 まだ練ってる😇】

カカオちゃん、仕事から帰宅してからの数時間ではチョコにならず、明け方3時まで練ってました☠️

バレンタインには間に合いませんでしたが、幸いこの日は休みだったので、死ぬ気で練ります😇


子供達は、私が必死でカカオを練ってるところを見て、「いつまでかかるの…?」「本当にチョコになるの…?」「実はカカオじゃなかったんじゃない??」と、めちゃくちゃ心配してくれました。笑


そしてカカオちゃん、お砂糖投入のタイミングをミスったかもしれない。

ねちねちになってしまって、もうどう頑張ってもサラサラにはならなさそうなので、一旦伸ばして固めてみることにしました…

テンパリングとか言える固さじゃない🙃


【成形】

伸ばして冷やし固めたカカオちゃん…!!


テンパリング取ってない割には、そこそこきれいに固まった気がします…!!

このままエイジングのためしばし冷蔵庫へ…


【2/17 ラッピング!!】

野菜室で少し寝かせて、味見の為に封を開けたら、カカオの香りがぶわわ!と上がってきて、おお…となりました😆

このままラッピングすることに!

若干生地に粗さはあるものの、ナッティでとろみのある美味しい一枚に仕上がったと思います…!

後味はパン!!!

それにしても、こんなにストレートにイースト菌の風味?が出てくるんだなぁとびっくり…

好気性発酵に入ってから入れたせいもあるかもしれません。(嫌気性発酵の時点で入れていたら、もう少し穏やかだったかも?)

こうしてカカオちゃんは、無事にチョコレートになりました…!!!

カカオの発酵からチョコレートを作ってみて

この2週間、子供達も一緒になってカカオと戯れることが出来て、親子共々、本当に良い体験をさせて頂きました。

特に末っ子は、カカオの殻剥きにも積極的に参加しようとする姿勢を見せており、将来が楽しみであります。笑

カカオの殻剥きデビューが4歳🤣


後日、cacao noteさんに完成したチョコレートを送ったところ、大変喜んでくださり、

「カカオポッドからチョコを作るのに成功したから、次は受粉からやろう!!」って言われてお腹抱えて笑いました😂

受粉と収穫のために沖縄まで飛ばねば…🤭笑


貴重な体験をさせていただき、本当にありがとうございました!!

あーでもない、こーでもないと頭をひねるのも楽しかったです!

長いレポートでしたがここまでお付き合い下さった皆様に、心から感謝致します🙇‍♀


もしこの記事がお役に立ちましたら、ご感想を頂けるとすごく嬉しいです…!

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